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少年が降り立った大地は白かった。
彼が歩く度に、ジャリジャリと擦れる音がする。
地平線まで続くのは雪ではない。もっと硬質で、醜いもの。
棄てられ、この世界では忘れられたもの。
別の世界で《エヴァンゲリオン》と呼ばれていたもの。
それで埋め尽くされた大地を、銀髪の少年はさしたる感慨もわかずに踏みしめ、目指していた。
地平線の先を。
◇◆◇
「今、そこから出してあげるね」
少年がたどり着いた場所には、天と地を繋ぐ…否、天と地を貫く一本の柱がある。
この世界の理。
一部の存在を知るヒトは、《世界樹》と呼んでいたが、少年にはどうでもいい事だ。
彼の目的は只一つ。
その理を破壊する。
「僕は君が存在しない世界なんて認めないよ、碇シンジ君」
彼がその柱に触れて、次の瞬間、衝撃と共に柱が赤くなった。
上からの圧力に推され、一気に白い大地へと刺さる。
腹部が、熱い。下半身と口からどろりとこぼれていく。
しかし、少年は冷静だった。静かに息を吐いて、自分を大地に縫い付けた存在に声をかけた。
「僕が、君に、刺され、る、なん…て、ね」
「この世界は碇君が望んだ世界。私はそれを守る」
倒れた少年の顔の近くに佇むのは、少女だった。
正確には、『少女の姿をした』存在だが。
少年は少女を見るために、少しだけ顎を挙げる。 やはり、以前の世界の姿をしていた。
「彼、が、居なく……て、も?」
「彼がそう望んだから」
あの選択の時、彼は願ったのだ。
自分以外の、世界の再構築を。
その願いによって創られた世界には、彼だけが居ない。かつての彼の両親も友達も関わった人間も、彼を知らない。
「ちが、う。望…んでる、なら、何故、僕、た、ちは…そん、在、する」
「碇君が、私とあなたの存在を望んだから」
すべてのヒトが知らなくても、ヒトの理から外れた二人には、覚えていて欲しい。
矛盾しているが、それがヒトなのだ。
「ぼ、く、は、彼が居ないと、い味が、ない」
「碇君が幸せなら、私はそれでいい」
「…ほん、と うぅ…に、コレ、が、彼の、しあわ、せ、だと?」
「…えぇ」
やがて、銀髪の少年は動かなくなった。
「!」
少女は柱に駆け寄る。
小さな振動が、大地を空を揺らしている。細かい亀裂が何本も走り、そこからオレンジ色の液体が溢れ出した。
「碇君?」
柱に変化は無い。しかし、柱に触れた少女には深い哀しみが流れ込んで来た。
「…そう。いいの。碇君がそれを望むなら」
少年が死に、それが哀しいと言うのなら。それを、碇シンジが望むなら。
少女には、この世界の崩壊と再生など、どうでもいいのだ。
◆◇◆
ピクシブにUPするのはちょっと・・・な感じだったので。正確には、カオ→←シン→←レイ。もちろん、アスカも大事です。
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