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気のむくままに、更新中… いわゆるネタ。 本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;) PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。 *関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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双児宮にある一室にたどり着き、漸く主賓たちは寛ぐことが出来た。
同時にため息を吐いてしまい、互いに顔を見合わせて噴き出す。
「お疲れ様、カノン」
「あぁ~、全くだ。あいつら騒ぎすぎ!」
兄は弟を労い、弟は兄に甘える。
こんな関係に慣れ始めたものの、やはりどこかこそばかゆい。それを兄に知られたくなくて、弟は捲し立てた。
「特にあのカミュは何なのだ!アイザック、アイザックと!
そんなに心配なら逢いに行けばよかろう!
俺は筆頭として許可するぞ!」
「私も、女神の親書を持たせ、海界に行かそうとしたんだがな…」
「…来たことないぞ」
「何だかんだと言って、断ってくるのだ。
一度女神御自らご命令を下された方が良さそうだな。
あの様子では…」

サガは笑いながら水瓶座の聖闘士の様子を思い出す。
最初は他の者たちと同じように談笑し、祝ってくれていたのだが、酒が入って暫くすると、ムウと話していたカノンの側に寄り、愛弟子アイザックのことを根掘りはほり訊き始めたのであった。
「俺は上司かもしれないが、母親ではないんだぞ!
ヤツの体調など知らんわ!」
カノンは吐き捨てると、ソファにどかりと腰を沈めた。
「まあ、良いではないか。
カミュも心配なのだろう。…そちらはまだ若いものたちが多い。自ずとお前に負担がかかろう。
彼は、弟子がお前の足を引っ張ってるのではないかと、気が気ではないのだろうよ」
「それならば心配無用だ。あいつは誰かに似て無口だし、飲み込みも早い。頑固なとこまでそっくりだ!」
テーブルにある水差しを乱暴に掴み、そのままラッパ飲みを始めた。ごくごくと喉が音を立てる。
「落ち着いたか?」
「それなりに」
「そうじゃない、いや、そうなんだが…」
「?」
優秀な兄ではあるが、何かを気遣い、あるいは気にして、言い淀む時がある。そんな時、第三者として口を挟むことは多々あるのだが、如何せん心当たりが無い。
何か先ほどのパーティーでやらかしたか?と記憶を探ってみても同じだ。

困ったカノンは前髪を軽く撫で付ける。
「その、ピアスだ」
「へ?」
「…貰ったもの、なんだろう?」
「あ、あぁ」
カノンの耳元には一対のベネチアンガラスのピアス。アーネストから贈られたものだ。
「金とマリンブルーか。良く似合っている」
「イギリスのパブで知り合った学生なんだが…あぁ見えてセンスが良いみたいだ」
「……よかったら、今度連れてきなさい」
「あぁ、…ってうえぇ!?」
兄の思いもよらぬ発言に、弟は思いっきり仰け反った。必然的にソファも後ろにずれる。
「…弟の友人だ。それくらい当然ではないのか?
流石に聖域は無理だか、国内の何処かに案内する分には問題無いだろう。
誕生日を共に祝えなかったお詫びだ」
「お、おぅ」

もしかして、この兄はずっと気にしていたのだろうか?今朝、これを身に付けてからずっと…。
(う、わぁぁぁぁ!)

カノンは恥ずかしさに襲われ体を揺すり心の中で絶叫した。
ガタン、と反動でソファが今度こそひっくり返った。

◇◆◇
え、何年ぶり?
まさしく宿敵と書いて友と読むってことで。

拍手[2回]

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幾つもの小宇宙が爆ぜて消えた。



刹那に瞬いて。





海底神殿に居た海龍は、その気配に震えた。

(何故だ)



他の海将軍たちもその爆発を感じたらしく、辺りを探っている。



海界ではない。



「カーサ、ポセイドン様のお側にソレントが居る。お前もお側に行け。

イオ、テティスと共に聖域に向かえ。状況を確認しろ。

それ以外の者たちは、」



鱗衣が共鳴した。





「全力で結界をはれ」

「はっ」





海界ではない。

聖域でもない。





(…冥界で何が)





良く知る小宇宙が、消えていた。



そして、海底が震えた。







ソレントは突如降臨したポセイドンに戸惑いつつも、背後に控えていた。

先ほどから仕える神は、何も言わない。

ただじっと海を見つめるだけである。

その海は、ただ穏やかに凪いでいた。



「成程な」



その呟きは、小宇宙の爆発によって、かき消された。

「なっ!」

「落ち着くがよい、ソレントよ。此方にも直ぐに来る。見よ」



ポセイドンが見る海の彼方に、黒煙が立ち込めていた。

「あれは…」







デスマスクは駆け上がった。

女神がいる間へと。

間違いない。

(あの方向は!)



最後の段を飛び越えると、アテナが静かに佇んでいた。



「シチリア、エトナ火山。

盟…」





◇◆◇

何も考えてません(笑)

拍手[1回]

彼がそのカフェに現れたのは、銀髪の青年が立ち去ってから20分程たった頃だった。
「お待たせしてすみません。カノンさん」
「いえ、こちらの予定が早めに終わってしまっただけなので。
時間ピッタリですよ」

アーネストには偽名を教えなかった。名前を伝えることで、何か変化を期待していたと言わなかったら嘘なる。
だが、やはり神々の封印は確かなもので、全く綻びは見えない。
(そりゃそうだよな…)
封印は強固なものだ。ポセイドンにしろ、双子の神にしろ、放たれたのは第三者の力による。
それはカノン自身が嫌と言う程知っていた。
そもそも、彼--アーネストに、ラダマンティスの記憶を思い出させて何になるのだろう。
冥界はそれを望んではいないようであるし、聖域にとっても、海界にとっても、三巨頭の一角が復活するのは脅威だ。
(……)
カノンは、目の前のイスに座り、スコーンを口に運ぶ青年を見る。
何故か緊張しているらしく、手元が危うい。

彼は、ラダマンティスではない。
ごくごく普通の、25歳の青年だ。
(海龍も双子座も望んでいない。
…俺だけが、あいつとまた闘いたいと思ってるんだ)
ラダマンティスなら、『カノン』を『カノン』として視てくれるだろう。
だが、それは、カノンだけの願望であり、誰も、勿論当の本人もそれを望んではいないのだ。


ただの人として。
次の生を全うして欲しい。

己が目覚めた時、女神はそう言われた。だが、自分は再び神々の闘士としての生を選択した。
それが、欲望にかられ引き起こしたことへの罪滅ぼしであり、それでも赦して下さった二神への感謝と忠誠の証でもある。

彼は自分が冥闘士天猛星翼竜のラダマンティスであることを知らなくて良い。
だから己も、女神の双子座でも海皇の海龍でも無くて良い。


ただの人として。


パブに顔を出し、たまにこうしてお茶をする仲で居られる。

それが一番良いのだと、カノンは無理やり思っていた。
心の底で起こる細波を抑え込む。


「あの、カノンさん」
先ほどから、アーネストの視線がおかしいのには気付いていた。
落ち着かなく、キョロキョロと周囲を見渡している。大体こう言った時は、何かを言いあぐねている場合が多いのだ。
「どうかしましたか?」
カノンは、出来る限り自然に笑って続きを促した。
「……すみません、もう今日は授業があるので」
「あぁ、そんな時間でしたか。
こちらこそすみませんね。こちらの話などつまらなかったのでは?」

彼には、自分はただの旅行者だと話している。
世界中を旅していると。

「いえ、大変楽しい時間でした。
えと、それでお礼、と言うか、誕生日も近いと話してくださったでしょう?」
「えぇ、まあ。明日ですが」
彼は何やら決心を固めたらしい。持っていたバックを取り出した。外側のポケットに手を入れる。
ほんの少しだけ、頬が赤い。
「あの、誕生日おめでとうございます」
「えっ」
テーブルに置かれたのは、細長い箱だった。
「あの、深い意味はないですよ?友人からの、細やかなプレゼントです」

友人。

(そうか。俺たちは友人なのか)
カノンはそれを受け取らず、そのまま相手の琥珀色の瞳を見た。
「友人なら、それらしく渡して欲しいぞ、アーネスト」
嬉しさを出さない様にしたのだが、バレてしまったかもしれない。
彼の瞳がぱちくりと瞬きをした。
そして数秒間、黙った。
それが、カノンにはとても長く感じられた。
アーネストは笑って言った。
「…今日は付き合ってくれてありがとう。そして、誕生日おめでとう。
受け取ってくれ。
店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。それで、気が付いたら買っていた
似合うと思うんだが…」
「友人がくれたものさ。ありがたく受けとるよ」
「そうか、良かった!
また、パブに、いや、こうして会えるといいな」
「そうだな。楽しみが増えた」
「俺もだ。じゃあ、先に失礼する」
「あぁ。またな」

アーネストが視界から消えると、カノンはテーブルに突っ伏した。
(あいつ)

--店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。

(恥ずかしい、ヤツ)

まだ寒いのに、体が痛いくらいに熱い。
しかし、カノンは知らない。

彼が、耳まで赤くしてロンドンの道を走っていたことを。


◇◆◇
思い付きで誕生日ネタを。
遅刻ですけど(^^;

もう、丁寧語な二人が気持ち悪くて気持ち悪くて~

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あの時、去来したものはなんだったのだろう。


金髪に琥珀色の瞳を持つ青年は、この数ヶ月で親しくなった年上の友人を想う。


初めて彼がその長い金髪を靡かせ、パブに入ってきた時。








全身を巡る血液が沸騰する程の高揚。


体の臓器から突き上がる歓喜。


だがその感情は、一瞬沸き上がっただけで、消えてしまった。


けれどまた会うと確信していた。故に、暫くして再び彼がそのパブを訪れた時は、目を見張ったのだ。


そして、今度はその美しさに目を奪われた。





太陽を包み込んだ髪。


母なる海の色を持つ瞳。


緩な弧を描く柳眉。


淡い紅色の薄い唇。




ギリシヤ彫刻の様に完璧に計算された顔の造形。


それは、ピュグマリオン王が作り上げた王妃ガラテイアの話を思い起こさせた。


彼は、神に似せ、神が命を与えた人物なのかもしれない。





そして、その彼に己は惹かれているのだろう。


彼が来店する度に話し掛け、ついには外で逢う約束を取り付けてしまったのだ。





彼は驚いた様子だったが、一つ返事で了承してくれた。


自分自身にそんな行動力があるとは到底信じられなかったが、やってみれば何とかなるものである。


5月のロンドンはまだ寒い。曇り空の下、薄いコートのポケットに手を突っ込み、アーネストは道を急いだ。








◇◆◇


ラダカノラダなんです。一応。


柳眉って、カノンらしくないかしら?

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ある程度仕事が終わると、たまにパブに顔を出すようになっていた。
そうなれば自然と会話が生まれる。すぐに、彼が法曹院に通っていること、そして『アーネスト』と言う名前であることが分かった。
将来は裁判官なることが夢だと、はにかみながら言っていた。


「で、何でお前がここにいるんだよ、デスマスク」
待ち合わせのカフェに早めに着いてしまったカノンは、さも当然に目の前に腰かける青年に頭を抱えた。
「たまたまだ。たまたま。仕事の合間の息抜きだな」
向こうには別のヤツがつめてるしな~と、銀髪の青年はコーヒーを啜りつつ答える。
ちなみに、赤いシャツを着崩し、サングラスをかけている相手は、完全にチンピラにしか見えない。
「ってか、何でカノンがここにいるんだよ」
「それこそ息抜きだ。俺だって、太陽の光を浴びたくなる時がある」
「ふぅん?」
何かを探る目付きではあったが、アーネストの存在を告げる気は無かった。


彼は、今、人として生きている。無理に話すことは無い。


「あ、ちょっと確認なんだけど、ここにはアンタは今日しか居ないんだろ?」
「あぁ。…明日は誕生日だから、聖域に顔を出せとサガがうるさいからな」
その答えに、デスマスクは口許を吊り上げた。
「まあ、いいじゃねーか。嬉しくて仕方ないのさ」
「フン」
「俺はちょっと無理だけどなぁ。今の仕事が長引きそうだ。悪いな」
「いや、仕方あるまい」

互いに聖闘士ではあったが、別々の神に仕える潜在的な敵同士でもある。
もっとも、今の海皇は女神や青銅を気に入っている様なので、再び地上と海で争いが起きることはなさそうだったが。
だからこそ、己は海界にも、聖域にも存在を認められているのだろう。

「差し当たり問題ないと思うんだが」
ふいに、デスマスクの声が下がった。
「まあ、気を付けろよ。まだ、詳しくは言えねぇんだけどな」
「……分かった」
黄金聖闘士が『ここ』に派遣されている。それはこの辺りに不穏な要因があるからに他ならない。
デスマスクは、コップを飲み干すとよく立ち上がり、左右に体を軽く捻る。
「んじゃ、俺戻るわ」
「あぁ」
彼は直ぐに目の前の雑踏に紛れ込み、気配を消した。

◇◆◇
私はデスマスクが好きです(笑)

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(で、何をしてるんだ俺は…)

結局、アイザックの無言の重圧に折れた。

そして、ロンドンのあのパブに居る。





ビールを片手に、込み合う店内を見回す。

『彼』はここで働いているらしかった。

カウンターの奥に、忙しく応対する金髪が見え隠れしていた。



冥闘士は魔星によって選ばれる。聖闘士の様に過激な修行も、海闘士の様に天性の才能も必要がない。

選ばれ、冥衣が力を与える。

その冥衣は、時には骨格や人相まで変えてしまうと言う。



冥闘士の彼は、厳格で威圧的なオーラを纏っていたが、本来はもう少し穏やかな性格らしい。

酔っている客のあしらい方も上手かった。



記憶の中より髪は長く、輪郭はシャープだ。

何か運動をしていたらしく、鍛え上げられた体格ではある。が、今のままでは翼竜の冥衣を支えることは出来ないだろう。



つまり、『彼』はヒトなのだ。



聖闘士としては護るべき。

海闘士としては忌むべき。

ヒトなのだ。





「……馬鹿馬鹿しい」

(そんな事を考えて何になるのだ)

宿敵は、もう居ない。

存在すらしていない。



飲み直すため、再びカノンはカウンターに近付いた。
「ラガーを半パウンドで」

対応したのは『彼』だったが、カノンは無理やり意識を店内の喧騒へと向けた。払おうとコインを取り出すが、相手はゆっくりと首を振った。

「私の奢りです」

「………は?」

想像だにしていなかった言葉に、カノンは動きを止める。

そもそも、話し掛けられるとは思ってもいなかったのだ。

前回から時間もたっているし、第一覚えられるようなことはしていない。

「1ヶ月ぐらい前もいらっしゃったでしょう?」

「はぁ、そうですが…」

「ありがとうございます。また、来てください」

「あ、あぁ」





同じ声で、同じ瞳で、『彼』は微笑んだ。







最近、カノンが休暇を取るようになった。

とは言え、月に二回程であるが。だが、変化はそれだけではない。

「海龍」

海魔女は柱に小宇宙を注ぎ込み終えたばかりの相手に問いかける。

「…なんだ」

「貴方の小宇宙が浮わついてますよ。うざったくて仕方ないんですけど」

「……相っ変わらず辛辣だな、お前」

そう溜め息をはきながら彼は振り返る。

そして、穏やかに凪ぐ小宇宙。

(ほら、ね)

「まさか筆頭ともあろう貴方が、自分の小宇宙に気付いていない訳ではありませんよね?」

「は?」

ヘッドパーツで表情は見えないが、声には明らかな戸惑いが含まれていた。

(…この人は)

がっくり、と両膝から落ちそうになる。

「…まさか、恋人でも出来たとか言わないで下さいよ」

「はぁ?お前大丈夫か?何だ働きすぎか?」

「それは貴方ですっ!

もう、疲れるので早く休暇に入って下さい。後は此方で処理しますから!!」

「いや、まだ時間…」

「邪魔なんです」

極めつけに、ソレントは思いっきりカノンを睨み付けた。







◇◆◇

続いた!

そして、イイように丸め込まれる三十路・カノン(笑)

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聖戦が終わって二年が過ぎた。





大いなる女神の慈悲により、再び今世を赦されたものたちは、ある者は再び神の元へ行き、またある者は記憶を消されたまま、一般人として生を謳歌していた。



聖闘士たちはほぼ聖域に集い地上を護り。

海闘士たちは、一部の海将軍が地中海の海底神殿の復興に力を注いでいた。

そして。

先の聖戦で一番損傷を受けた冥界は、パンドラとミーノスの元、何とかその機能を維持していた。





かつての闘士たちを、無理に呼び寄せるつもりなど、パンドラにはない。

それは、今は海将軍筆頭として奔走するカノンも同じだった。

その為、二つの世界はまだ不安定であったが、それに対し女神は何も言わなかった。





その時が来れば、また集う。





二つの世界の闘士たちはそう言った存在であるし、出来ることなら、今生でそうなって欲しくないと、各々思っている。





だから。



ロンドンでかつての宿敵の魂を持つ人間の姿を見ても、それを黙殺した。

否。

しようとした。



胸にチリチリとした痛みを感じても。

ビールを持つ手が震えても。

彼の気配を探そうとしている自分に、気が付かない振りをした。







「海龍!…カノン!」

「!」



己の名前を呼ばれて、漸く目の焦点が合う。

今はロンドンの角のパブではない。

「カノン?」



ここは海の底。

罪が漂う神殿。



「ああ、クラーケ…」

「最近、顔色が悪いな」

独眼の少年は、そう言いながら水を差し出した。

「……書類は出来たのか?」

海龍は敢えて受け取らず、クラーケンが持つファイルに目を向ける。

少年は、それを無視し、じっと探るように自分を見つめてくる。

「海龍。いや、カノン。小宇宙が乱れてる

少しは休んだらどうだ?」

「何を馬鹿な事を。

早くそれを置いて仕事に戻れ。我々に休む暇などない」

「…皆、心配している。あのソレントさえ、だ」

「くどいぞ。クラーケン」

渡せと机を叩くが、少年は動かない。



「クラーケン!」

「これは、俺たちで処理する」



一度決めたことは貫き通す。これは、師匠とよく似ていた。

かの水瓶座も、冥闘士にその身を堕とし、十二宮を駆け登ったのだ。

「…変なところばかり受け継ぎやがって」



紫黒の聖衣を纏う男。

あの男のから放たれた殺気。

カノンの中で冥闘士と言えばただ一人だった。



◇◆◇

…え、続くんだろうか。これ。

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それは、こんな時に。


海界で開かれた会議の合間に、ラダマンティスはゆっくりと暗い廊下を歩いていた。


冥衣と石がすれる、甲高い音。
それに、己とは違う音が混じる時がある。

正面の暗闇から現れる鈍い金の輝き。マスクで表情は分からない。

同じ速度で床を蹴る。

一歩一歩。

ゆっくりと近付いて。
そのまますれ違う。

だが。

その時。

一瞬だけ。


互いの視線が絡み合う。
その刹那の時間が、堪らなく愛しいのだ。


◇◆◇
ラダカノラダと言い張る(笑)
カノンは海龍です。
…鱗衣は真珠色だと昔は思ってました…。

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それは唐突にやってきた。


いや、何事も事件は突発的に起こるものなのだが。


ギリシアの聖域には、クリスマスなど本来関係がない。『神』が違うのだ。だが、これだけ情報化社会になれば、否応なしに流入してくる。
そして、海闘士の大半は欧州系で暮らす一般人であった為、何となくクリスマスを意識している様な節があった。それで冥闘士であるラダマンティスのところに、カノンは来ていたのである。冥闘士も又、選ばれるまでは、極々普通の人々だったのだから。

何故、海闘士筆頭が冥闘士の三巨頭の元へ?など疑問に思ってはいけない。
別にそれを口実に押し掛けた訳でも、多分ない。
とにかく、ティータイムセットまで持ち込み、相手の迷惑をかえりみず、それなりにクリスマスの情報を入手したカノンは、帰ろうとしたのである。

そこに、兄、サガが来なければ。しかも血の涙を流しながら。

「!?サ、」
「カノォォォォン」

がしっ(抱きつかれた)

出現してそうそう、兄は弟に抱きついた。後ろに倒れそうになるのをどうにか堪える。

視界の隅に捉えたラダマンティスが、思いっきり面倒くさそうな顔をしていたが、…気にしない。

それよりも兄である。

「サガどうし…」
「聞いてくれカノン!アテナと星矢が!」
「2人がどうかしたのか!?」

まさか事件に巻き込まれたのか?とカノンとラダマンティスに緊張が走る。

「クリスマスにたった2人っきりで、テーマパークに行かれるらしい!
ああ、私はどうしたら!」
「……」
「……」

カノンは全身の力が抜けていくのが分かった。相方は浮かしかけた腰を下ろして、何事も無かったように書類に目を通している。
無視をするらしい。
内心覚えてろと毒づくが、そんな事を欠片も出さずにサガに話しかけた。

「サガよ。何を悲しむことがあるのだ?
星矢ならお供として申し分ないだろう」

あの少年間違いなく最強の聖闘士である。
まあ、俗に言う『デート』だが。

「…あの2人に限って」

何もないだろう。流石に。幾らなんでも。
うん。お兄さんは信じている。

「そうではない、そうではないのだカノンよ!
私は、私は」
「お、落ち着け」

お前も落ち着けよ、実は聞き耳を立てていたラダマンティスは内心突っ込んだ。
声に出すと巻き込まれるので、あくまで無言を押し通して。

「アテナがそこまでご成長されたことが、このサガは嬉しいのだ!」
「……」
「……」

感動に胸を震わせるサガ。
そのサガを抱き締めたまま固まるカノン。

「…あ~うん、俺はサガがそんなことに感動出来るようになったのが嬉しいよ」
「カノン!!!分かってくれるか!!!!」(抱擁を強める)
「いいからもう帰れ」



◇◆◇

数年振りに書いたのがこれか…。
ラダカノラダ。
双子にゲンなりする翼竜。

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もう、星矢を更新しなくなって大分立つんですが、未だに検索でおいで下さる方が多いようで…。

まぁ、70以上あるもんな…。

でも、フレーズでみると「リア魔鈴」が割と多い!


いや、BLメインでごめんなさい…。

カノラダカノだったり、年中組だったりですみません…。

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ホシノヤドリギ
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自己紹介:
現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。

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