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「すまない。部屋に書類を置き忘れてしまった。机の上にあるから取ってきてくれないか?」
同じ海将軍と言う立場にあるカノンが、頼みごとをする事は珍しい。
それだけ今忙しいと言う事は、彼の目の前にある書類の山を見れば分かる事だった。
「分かった」
自分の手元の報告書を手短に纏めると、アイザックは無表情のまま席を立った。
海龍の部屋は驚く程殺風景だ。
最低限の家具しかない。
例えば、海魔女の部屋は旅行用バックと音楽関連の道具が整頓されて置かれている。
例えば、スキュラの部屋は足の踏み場も無い程散らかっていてアイザックは入る度に片付けをしている。
自分の部屋も殺風景だといわれるが、少なくともここ程では無いと思う。
この部屋は本当に冷たい。
よく見れば使われているのはベットだけのようで、他は埃が溜まっている。
「これか」
机の上におかれたファイル。なぐり書きの文字で書かれたメモが付いている。
「……?」
そのファイルの隣にある箱。
分厚いファイルがいくつか入ってしまいそうな程の大きさの箱である。閉じられていて中は見えない。
アイザックはそれを一瞥しただけで、特に興味を持たず目的の物を手にした。
ただ予想外だったのは。
「あ!」
アームパーツがその箱に当たり、勿論持ち前の速さでその箱が落下する事は避けられたけれども。
その時の衝撃で箱の蓋が捲れて中身が見えてしまった事だった。
「ッ!!!???」
――ブラック・アウト
「………」
「ありがとう。遅かったな。分かりにくかったか?」
「いや……」
普通に仕事をこなす相手をアイザックは心なしか青い顔で見上げる。
「どうした?」
「………こんな事を言うのは迷惑かもしれないんだが、」
「何だ?」
何事もクールに。
師の言葉が浮かぶ。
たかがあれくらいの物を見たぐらいで!!
これくらいの事で動揺してどうするのだアイザック!!!
わが師の修行でもっと辛い目にあってきたではないか!!!!
「………………………その、……………………そう、少しは掃除をしたほうがいいと思う。大分隅に埃があったぞ」
しばし頭の中で色々なものを反芻し、出てきた言葉は全く違ったものだった。
「あー、そう言えば最近全く掃除なんてしてないな。そうだな。次の休みにするか」
その返事をどこか上の空で聞きながら、どんな時でも『クール』がモットーのシベリアファミリーの中でもっともクールな少年は席に戻る。
「ところでアイザック」
「何か?」
「このファイルの側に箱あっただろう」
いきなり核心である。
「中身見たか?」
「いや、第一蓋してあったので見えないだろう」
声が裏返ずに話せたのは奇跡だとアイザックは本気で思った。
後日談
「あ、そうそう。アイザックに見られたらしいんだよな」
「は?何がだ?」
「写真とか。その他色々」
「?なんだそれは」
「こないだの監…」
「~~~~!!!!(声にならない悲鳴)」
◇◆◇
色々なものが入っていたらしいですよ。
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