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気のむくままに、更新中… いわゆるネタ。 本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;) PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。 *関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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次に会った時は、消毒液の臭いが漂う部屋だった。





誰よりも愛しい彼、その顔に刻まれた醜い傷。

額から鎖骨まで一気に走るそれは、彼に躊躇が一切無かったことが分かる。

剣自体手入れがされてなかったのだろう。傷はギザギザで所々ひきつっている。

「自分で…やった?」

崩れ落ちそうになる足を叱咤する。

「そうだよ」

「な、ぜ?」



その傷でひきつった唇は、その問いに甲高い笑い声を発した。

「なぜ?そんな事を僕に聴くの?

なぜ!なぜ!!なぜ!!!



分かってる癖に!!!



…君が僕を好きだと言うからさ!

いとおしいと!愛していると!!!」



激高し、顔を赤らめる姿さえ、いとおしいのに。



「お、れ、のせい、なのか」

「そうだよ!アンタのせいだよ!

さあ、これで僕への興味が削がれただろう!」

「待ってくれ!じゃあ何故俺を受け入れた!!

あれは何だった??」

「気の迷いさ!ただの気まぐれ。

それ以外の何物でもない

さあ、出ていけ!!!

さもないと…」



途端に彼の掌に焔が生まれた。

赤々と燃え、二人の間を煌々と照らし出した。

前髪が影となり、互いの表情が見えない。



「ま、」

「これ以上ここに居ると」

相手は焔をゆっくりと掲げた。

口許が歪む。

それは今までの微笑みとは異なる、醜悪なものだった。

彼は強い、だが私には敵わない。それを誰よりも理解しているはずだ。

「俺を、焼き、殺す気、か?」

「まさか、僕がアンタを倒せるわけもない。だから…」



彼はその掌を己の顔に近づけた。

綺麗なスカイブルーの髪がチリチリと焼けた。

「僕は僕の顔を焼く」

「!!」



生臭い。

彼の髪が焼けていく。

月に照らされて、透き通るようだった、髪が。

手を差し込めば、絹糸の如くしなかやで、包み込んでくれた髪が。

熱く見つめあった瞳も、それを彩る睫毛も。

愛を受け入れてくれた唇も全て。



燃やしてしまう。

「やめっ」

「ならば出ていけ」





そこからどうやって出ていったのか、正直記憶にはない。

多分、逃げたのだろう。



あれは、あの夜は夢?

受け入れてくれたのではなく、無理やり、だった?



「俺は、なんて、こと、を」



失ってしまったのだ。



一番護りたかったものを、壊してしまった。





それからしばらく、私は姿を隠した。



時間が欲しかった。頭を冷やしたかった。





◇◆◇



なんかエグい始まりを想像したなあ…。

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現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。

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