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気のむくままに、更新中… いわゆるネタ。 本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;) PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。 *関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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霧の街とかつて謡われた都市を二人で歩きながら、カノンは足を止めた。
ショーウインドウに映る彼の姿。
「どうした?」
「いや。…以前お前は人だった頃の記憶はあまり無いと言っていたが、」
「そうだ」
特に蘇ってからは、薄いカーテン越しに影を見るように、うっすらとした映像が時より思い出せられるだけと言う。
「…その割りには足に迷いが無いと思ってな」
「そうかもしれん。経験は蓄積されているのかもな」
どこに何があるのか、なんとなく、分かるのだ。
呼ばれる前、この街に居たのかもしれない。
「うっかりかつての知り合いに逢ったらどうする?」
暮らしていたのなら、知人ぐらいは居るだろうと、カノンは笑いながら尋ねた。
「その心配は杞憂だ」
「何故?お前に記憶が無くとも向こうは…」
「顔が違うからな」
淡々と語る相手に、カノンの顔から表情が消える。
「何、」
「魔星に呼ばれ、冥衣を身につけた時より、人格も変化する。それにともない肉体も作り替えられる。だから、もしここですれ違っても互いに気付かん。母親でもな」
そうやって冥闘士は創られていく。だから肉体が死んでも冥衣さえあれば補充がきくのだ。
「…一つ、思い出話をきかせてやる」
黙っていたカノンが口を開いた。
「俺が聖域から抜け出し、漸く世界を知った頃の事だ」
歩く速度を落として、懐かしそうに語りだした。
「シードラゴンとして北大西洋を見回った後、街に出るのが日課だった」
とにかく知識が欲しかった。
「たまたま寄った街で、目障りなガキに逢った。馬鹿がつくほど真面目でな。俺の姿を見て何を勘違いしかかわからんが、何かとお節介をやくガキだ」
ラダマンティスは黙って聴いていた。彼が昔の事を話すのは珍しい事だった。
「俺がまだ十代だったからな。もっとアレは幼かった。俺に惚れていたらしかったから、暇つぶしにからかって、後は好きにさせた」
「それで?」
「それだけだ。そいつはやがてデカイ街に行くことになってな。あまりピーピー喚くから適当に記憶を改竄させて」
そこで一旦言葉を区切ると、カノンは苦笑する。
「…別れた」
「ほう」
「歳はお前と同じぐらいだ」
「逢いたいか?」
「さぁ?逢ったところで向こうは俺を忘れているし、俺も気付くかどうか」
琥珀色の髪、澄んだ瞳。
「融通が利かない頑固なガキでな。お前みたいだったよ」
「そうか」
「あぁ」
瞳も柔らかな金色で。
その眼をキラキラさせながら夢を話していた。
やがて故郷のフェローズ諸島で暮らすのだと。
あの少年は言っていた。

◇◆◇
こんな設定も有りかな、と。

***

矢をつがえた黄金の像。

その矢の先には。
あの人達が居る。

「矢を放て。サジタリウス」
彼らを射ぬけ。アイオロスよ。

けれども、その矢が解き放たれる事は無く。
「卑怯者」

あなたが射れば、彼はそれを受け入れるかもしれないのに。

◇◆◇
今更言ったところで何になるのだろう。

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ホシノヤドリギ
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自己紹介:
現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。

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