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「辛いですね」
突然かけられた声にイザヤールは内心驚くが、それを悟られぬ用に振り向き大地を蹴って一気に下がる。
(…気がつかなかった)
いつの間に彼は己の後ろに居たのか。
相手は弟子の仲間の1人。確か魔法戦士である。既にレベルは高いようで、先ほどの戦いでも補助に戦力にと活躍をしていた。
あの人形の一件で、彼女は酷く心を痛めているようだった。元来思いやりのある彼女には、今回の戦いはかなり辛かったのだろう。
偵察に来ている筈だったのに近くまで降りてきてしまったのは、彼女の己を呼ぶ声が聞こえたから…。
いや、必死に哀しみを堪えるその姿に思わず、昔のように抱きしめようとしてしまったからだった。
そんなことを出来もしないのに。
「そんな睨まないで下さい。別に貴方と戦いたい訳ではないんです」
「……私の姿が見える。理由はそれだけで十分だ」
この姿を見える人間もまれに居る。まして、この魔法戦士は天使を共に行動している身である。感覚が研ぎすまされているのかもしれない。
「何度も心配で見に来るなんて、よっぽど大切にしてらっしゃるんですね」
相手はその場に座る。おそらく敵意が無いことを見せるためだろう。
「何のことだ」
だが、イザヤールはそこを動かない。
「…あの子は会いたがっています。そんなに心配なら姿を現せばいいじゃないですか」
そして、何もかもぶちまけてしまえばいい。
その言葉にイザヤールは目を大きく開き、傍らの剣の感触を確かめた。
(こいつは何者だ。そもそもこのオーラは…)
「お前は人間では無いな。モンスターでも、…天使でもない」
「……人間ですよ。ちょっと毛色が違うのは認めますが」
カチリ、と硬い音がする。
イザヤールが剣に右手をかけた音だ。
その気配に、彼はそっと目を伏せ、相手を見上げた。そしてそのまま一言も発することなく、イザヤールは魔法戦士を睨み、魔法戦士はイザヤールを見つめる。
「…そんなに私たちを、彼女を信用出来ませんか?」
「何の話か分からんな」
「彼女は、今は弱い。けれど必ずこの旅で貴方と並ぶ実力を付けるでしょう。そうすれば、きっと」
相手からこぼれ落ちる言葉は、叫びに似ていた。縋るような言葉だった。
◇◆◇
なんか長くなったんで切ります。
こっそり師匠が見守っていたらいいな。
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