気のむくままに、更新中…
いわゆるネタ。
本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;)
PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。
*関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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彼がそのカフェに現れたのは、銀髪の青年が立ち去ってから20分程たった頃だった。
「お待たせしてすみません。カノンさん」
「いえ、こちらの予定が早めに終わってしまっただけなので。
時間ピッタリですよ」
アーネストには偽名を教えなかった。名前を伝えることで、何か変化を期待していたと言わなかったら嘘なる。
だが、やはり神々の封印は確かなもので、全く綻びは見えない。
(そりゃそうだよな…)
封印は強固なものだ。ポセイドンにしろ、双子の神にしろ、放たれたのは第三者の力による。
それはカノン自身が嫌と言う程知っていた。
そもそも、彼--アーネストに、ラダマンティスの記憶を思い出させて何になるのだろう。
冥界はそれを望んではいないようであるし、聖域にとっても、海界にとっても、三巨頭の一角が復活するのは脅威だ。
(……)
カノンは、目の前のイスに座り、スコーンを口に運ぶ青年を見る。
何故か緊張しているらしく、手元が危うい。
彼は、ラダマンティスではない。
ごくごく普通の、25歳の青年だ。
(海龍も双子座も望んでいない。
…俺だけが、あいつとまた闘いたいと思ってるんだ)
ラダマンティスなら、『カノン』を『カノン』として視てくれるだろう。
だが、それは、カノンだけの願望であり、誰も、勿論当の本人もそれを望んではいないのだ。
ただの人として。
次の生を全うして欲しい。
己が目覚めた時、女神はそう言われた。だが、自分は再び神々の闘士としての生を選択した。
それが、欲望にかられ引き起こしたことへの罪滅ぼしであり、それでも赦して下さった二神への感謝と忠誠の証でもある。
彼は自分が冥闘士天猛星翼竜のラダマンティスであることを知らなくて良い。
だから己も、女神の双子座でも海皇の海龍でも無くて良い。
ただの人として。
パブに顔を出し、たまにこうしてお茶をする仲で居られる。
それが一番良いのだと、カノンは無理やり思っていた。
心の底で起こる細波を抑え込む。
「あの、カノンさん」
先ほどから、アーネストの視線がおかしいのには気付いていた。
落ち着かなく、キョロキョロと周囲を見渡している。大体こう言った時は、何かを言いあぐねている場合が多いのだ。
「どうかしましたか?」
カノンは、出来る限り自然に笑って続きを促した。
「……すみません、もう今日は授業があるので」
「あぁ、そんな時間でしたか。
こちらこそすみませんね。こちらの話などつまらなかったのでは?」
彼には、自分はただの旅行者だと話している。
世界中を旅していると。
「いえ、大変楽しい時間でした。
えと、それでお礼、と言うか、誕生日も近いと話してくださったでしょう?」
「えぇ、まあ。明日ですが」
彼は何やら決心を固めたらしい。持っていたバックを取り出した。外側のポケットに手を入れる。
ほんの少しだけ、頬が赤い。
「あの、誕生日おめでとうございます」
「えっ」
テーブルに置かれたのは、細長い箱だった。
「あの、深い意味はないですよ?友人からの、細やかなプレゼントです」
友人。
(そうか。俺たちは友人なのか)
カノンはそれを受け取らず、そのまま相手の琥珀色の瞳を見た。
「友人なら、それらしく渡して欲しいぞ、アーネスト」
嬉しさを出さない様にしたのだが、バレてしまったかもしれない。
彼の瞳がぱちくりと瞬きをした。
そして数秒間、黙った。
それが、カノンにはとても長く感じられた。
アーネストは笑って言った。
「…今日は付き合ってくれてありがとう。そして、誕生日おめでとう。
受け取ってくれ。
店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。それで、気が付いたら買っていた
似合うと思うんだが…」
「友人がくれたものさ。ありがたく受けとるよ」
「そうか、良かった!
また、パブに、いや、こうして会えるといいな」
「そうだな。楽しみが増えた」
「俺もだ。じゃあ、先に失礼する」
「あぁ。またな」
アーネストが視界から消えると、カノンはテーブルに突っ伏した。
(あいつ)
--店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。
(恥ずかしい、ヤツ)
まだ寒いのに、体が痛いくらいに熱い。
しかし、カノンは知らない。
彼が、耳まで赤くしてロンドンの道を走っていたことを。
◇◆◇
思い付きで誕生日ネタを。
遅刻ですけど(^^;
もう、丁寧語な二人が気持ち悪くて気持ち悪くて~
「お待たせしてすみません。カノンさん」
「いえ、こちらの予定が早めに終わってしまっただけなので。
時間ピッタリですよ」
アーネストには偽名を教えなかった。名前を伝えることで、何か変化を期待していたと言わなかったら嘘なる。
だが、やはり神々の封印は確かなもので、全く綻びは見えない。
(そりゃそうだよな…)
封印は強固なものだ。ポセイドンにしろ、双子の神にしろ、放たれたのは第三者の力による。
それはカノン自身が嫌と言う程知っていた。
そもそも、彼--アーネストに、ラダマンティスの記憶を思い出させて何になるのだろう。
冥界はそれを望んではいないようであるし、聖域にとっても、海界にとっても、三巨頭の一角が復活するのは脅威だ。
(……)
カノンは、目の前のイスに座り、スコーンを口に運ぶ青年を見る。
何故か緊張しているらしく、手元が危うい。
彼は、ラダマンティスではない。
ごくごく普通の、25歳の青年だ。
(海龍も双子座も望んでいない。
…俺だけが、あいつとまた闘いたいと思ってるんだ)
ラダマンティスなら、『カノン』を『カノン』として視てくれるだろう。
だが、それは、カノンだけの願望であり、誰も、勿論当の本人もそれを望んではいないのだ。
ただの人として。
次の生を全うして欲しい。
己が目覚めた時、女神はそう言われた。だが、自分は再び神々の闘士としての生を選択した。
それが、欲望にかられ引き起こしたことへの罪滅ぼしであり、それでも赦して下さった二神への感謝と忠誠の証でもある。
彼は自分が冥闘士天猛星翼竜のラダマンティスであることを知らなくて良い。
だから己も、女神の双子座でも海皇の海龍でも無くて良い。
ただの人として。
パブに顔を出し、たまにこうしてお茶をする仲で居られる。
それが一番良いのだと、カノンは無理やり思っていた。
心の底で起こる細波を抑え込む。
「あの、カノンさん」
先ほどから、アーネストの視線がおかしいのには気付いていた。
落ち着かなく、キョロキョロと周囲を見渡している。大体こう言った時は、何かを言いあぐねている場合が多いのだ。
「どうかしましたか?」
カノンは、出来る限り自然に笑って続きを促した。
「……すみません、もう今日は授業があるので」
「あぁ、そんな時間でしたか。
こちらこそすみませんね。こちらの話などつまらなかったのでは?」
彼には、自分はただの旅行者だと話している。
世界中を旅していると。
「いえ、大変楽しい時間でした。
えと、それでお礼、と言うか、誕生日も近いと話してくださったでしょう?」
「えぇ、まあ。明日ですが」
彼は何やら決心を固めたらしい。持っていたバックを取り出した。外側のポケットに手を入れる。
ほんの少しだけ、頬が赤い。
「あの、誕生日おめでとうございます」
「えっ」
テーブルに置かれたのは、細長い箱だった。
「あの、深い意味はないですよ?友人からの、細やかなプレゼントです」
友人。
(そうか。俺たちは友人なのか)
カノンはそれを受け取らず、そのまま相手の琥珀色の瞳を見た。
「友人なら、それらしく渡して欲しいぞ、アーネスト」
嬉しさを出さない様にしたのだが、バレてしまったかもしれない。
彼の瞳がぱちくりと瞬きをした。
そして数秒間、黙った。
それが、カノンにはとても長く感じられた。
アーネストは笑って言った。
「…今日は付き合ってくれてありがとう。そして、誕生日おめでとう。
受け取ってくれ。
店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。それで、気が付いたら買っていた
似合うと思うんだが…」
「友人がくれたものさ。ありがたく受けとるよ」
「そうか、良かった!
また、パブに、いや、こうして会えるといいな」
「そうだな。楽しみが増えた」
「俺もだ。じゃあ、先に失礼する」
「あぁ。またな」
アーネストが視界から消えると、カノンはテーブルに突っ伏した。
(あいつ)
--店でこれを見たら、カノンが浮かんだんだ。
(恥ずかしい、ヤツ)
まだ寒いのに、体が痛いくらいに熱い。
しかし、カノンは知らない。
彼が、耳まで赤くしてロンドンの道を走っていたことを。
◇◆◇
思い付きで誕生日ネタを。
遅刻ですけど(^^;
もう、丁寧語な二人が気持ち悪くて気持ち悪くて~
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現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。
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