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気のむくままに、更新中… いわゆるネタ。 本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;) PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。 *関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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その日、若きグランパニアの王は突如退位を表明した。当初、国内は混乱すると思われていたが、あっさりと次期王は決まり目立ったことはなかった。

「前々から決めていたんだな」
「父さん…ごめんなさい」

中庭に佇むその影に、白髪が混じりかけた男が、声をかけた。
咎めている訳ではない。それは苦笑に近かった。

「ドリスなら任せられると思ったんです。僕は、いつ戻るか分からないから」
「よく彼女が受けたね」
「…メチャクチャ怒られました。でも、最後は、納得してくれました」


――バカね!アンタは本当にバカ!世界の果てでのたれ死ねばいいんだわ!
私だって王家の人間よ。アンタ以上の王になってやるんだから!


男は、愛して止まない息子の顔を見つめる。髪色と口元は妻に似ているが、目元は自分譲りだと、かつて言われたことがある。

「これが、最良の選択なんです。
…僕が居なくなれば、全て丸く収まる」
「すまなかったね。お前を追い詰めてしまった」
「そんなこと無いです!」
最愛の息子は、父が、自分が、そして世界が求めていた勇者だった。
遥か昔、魔王を滅ぼした天空の勇者の再来。そして、運命に導かれ、自分たちもまた、魔界に降り立ったのだ。
やがて幾年月が過ぎ、己は彼に王位を譲った。
だが、それから少しずつ歯車は狂い初めてしまった。
“世界を救った勇者が治める国”

その存在は父王の時より強く世界に衝撃を与え。
結果、内外に要らぬ事態を招いてしまった。
善くも悪くも強き者は人を呼ぶ。そして人は秩序と破壊をもたらす。

しかし。
最大の原因はそれでは無い。彼を追い詰めたのは、彼自身だった。

「鎧と兜は置いていくんだね」

その言葉に、目線をそらし小さく頷き、それから呟いた。

「抑制できなくなりそうで」

以前、一度だけその言葉を耳にしたことがあった。恐怖に顔をひきつらせ、幼子のように父の元へ飛び込んできたのだ。

――自分が怖いんです。力を解放させてしまいたいと願う自分が。もっと強くなりたいと思う己が。

すがる息子を、父は抱き締めることしか出来なかった。


「だから父さん、僕が自分を律する時がくるまで、それを預かっていていただけませんか?」
「構わないよ。
それに、お父さんとお母さんはお前が残り香が無いと寂しいからねぇ…」

しみじみとそう答えると、漸く彼は微笑みを浮かべた。それはまだ弱々しいものではあったが。

「放浪癖はお祖父さんからの遺伝だ。気にするな。
そして、ケリが着いたら戻って来なさい。
ここはお前の家なんだから」
「はい」

彼は目を瞑ると、大きく息を吐いた。次ここを訪れるのは、国民に祖母に祖父に母に、そして父に恥じぬ勇者になった時。

「それでは行って参ります」
「あぁ」


そして勇者は伝説となる。

◆◇◆
若くして力を手に入れたらどうなっちゃうんでしょう?

基本どの色の息子でも良いように、あえて髪色を書きませんでした。

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ホシノヤドリギ
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自己紹介:
現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。

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