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気のむくままに、更新中… いわゆるネタ。 本館は更新が止まっていますが、日記は儚く動いてます(^_^;) PCからでも携帯からでも見れますが、PCからの方が見やすいかと…。 *関連会社様とは一切関係がございません。個人の趣味の範囲内・常識の範囲内でお楽しみください。
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主人公がちょっとスレています(苦笑)

ご注意を。







「それで、そろそろ腹を割って話さない?」



月すら無い夜。海に浮かぶ船の一室で、黒髪の女性は椅子に座ったまま、じっと青年を見つめた。

口にうっすら笑いを浮かべて。



「何をだい?」



だが、問われた青年は背を向けたまま。

手元の武器の点検を続ける。



「私を選んだ訳よ」

「それは勿論…」

「『愛してる』なんて言わないでよ。気持ちが悪い」

「気持ちが悪い、ね」



くすり、と彼が笑った気配がする。



「えぇ。嘘ぐらい見抜けるわ」

「それじゃあ、デボラ、君はどうなんだい?」



名目上は夫である青年は、漸く動きを止めて、ゆっくりと振り向いた。

食えない微笑みを張り付けて。



「前も話したじゃない。忘れたの?呆けるには早いわよ。

あの街を出たかったのよ。世界を巡るって言うのも、中々刺激的だわ。

この空と海の果てと大地の底を見るのも悪くない」

「本当に?」

「えぇ」



他に何があるの?と、カリソメの妻は髪先を弄りながら答えた。



「へぇ」

「あんたは?私の睨みでは、あのビアンカって娘が本命。フローラのことも満更じゃないみたいだったけど?」

「俺はビアンカが好きだよ。そして、彼女たちを失いたくない」



向かい合う二人の笑みが深くなった。

デボラ、と呼ばれた女性は立ち上がり、夫の顔を下から覗き込む。

夫は、彼女の腰に手を回し、妻はその胸元に顔を寄せた。



「俺には、託された夢がある。その夢を叶える為なら何だってするさ。

…何だってね。

手段は問わない」



暗い暗い瞳。感情を消した目。

その目にデボラの背中はゾクリ、と震えた。

だが、決して嫌な震えでは無い。



「二人を巻き込みたくないし、そんな俺を見せたくない」

「私はいいのね?」

「そう。君はスリルが好きだろう?

一緒に堕ちてくれるだろうと思ってね。

それこそ、大地の底まで」



あっけらかんと言い放つ伴侶に、体を振るわせて笑った。



「いいわ。乗ってあげる。私たち、いい共犯者になるわね」

「それだけじゃないんだけどね」

「あら、まだあるの?」



クスクスと、先ほどの蠱惑的な笑みをから、少女の様な微笑みになり、ゆっくりと相手の口元をなぞる。彼はその指先を掴むと軽く口付けた。



「あぁ。でも、これはまだ言わない。

君が真実を教えてくれるまで、ね」

「真実?」

「君が、あの場に飛び込んできた本当の理由」



ほんの一瞬、彼女の虹彩が大きくなる。だが、次の瞬きでそれは消えた。



「……何のとこかしらね」「まあ、いいけど。で、女王様の好奇心はみたされたかな?」

「えぇ、今日のところは」

そっけなく離れるとドアノブに手をかける。ガチリ、と回る音がした。



「おや、今夜も独り寝かい?そろそろ同室でもバチは当たらないと思うけど?」

「そうね。次の街に着いたら考えなくも無いわ」

「少なくとも、窓の鍵は開けておいて欲しいね」



忍び込むからと、一見すれば邪気の無い笑みだが、一枚剥がせば黒い笑みで続けた。

この暗い笑みが嫌では無いのだ。不思議な事に。



「…ね、デボラ」



彼女がドアに隠れる彼は小声で、だが、彼女に聞こえるように呟いた。



「『愛してるよ』」



数秒、彼女はその場に立つものの、振り向きもせずに言い放つ。



「『えぇ、私も』」



こんな白々しい夫婦の会話は、世界中を探しても他に有りはしないだろう。

デボラはそう感じながら、ゆっくりとドアを閉じた。





彼女たちが大切だと、彼は言った。

それはデボラも同じこと。

そしてこの1ヶ月。共に過ごして分かったことがある。

彼の異常な力と、そして果てが見えぬ旅。



「私もフローラは大切よ。誰があんたなんかに嫁がせるものですか」



そう吐き捨てると月の無い海を見た。

妹の住む家はとうに見えなくなっていた。







男は亡き父から託された剣を手に取り、なぞった。

重くて、装備は出来ない。先日手に入れた盾も同じだった。



自分は勇者ではない!

自分では母を助けられない?

何故自分が勇者ではない!

勇者であれば父を故郷を救えた?



もう誰も巻き込みたくない。

この盾はどさくさに紛れて盗み出すことさえ考えていたのだ。

それが最良の選択だと。

皆を気付つけることになるが、死なせることはない。やがてこんな男のことなど忘れて平和に暮らすだろうと。

そう、考えた。

なのに、何故彼女を選んだ?



「同じだと思ったから、かな」



プライド高く振る舞う仕種の奥に、微かに見えた“淋しさ”



「君にそれを告げたら、烈火の如く怒るだろうね」



男の呟きは誰にも聴かれることなく、部屋の炎と共に消えた。





◆◇◆

勇者ヨシヒコを見てたら5を思い出しました(笑)色々巡ってみたら、デボラさんって人気なんですねぇ。



スレた主人公なら、デボラさんに対抗出来そうかな、と。

花壇に咲く花を咲かせるように、結婚してから育む愛があってもいいじゃない。

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ホシノヤドリギ
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自己紹介:
現在、役者として成功することを夢みつつ、しっかり腐女子になっている20代です。

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